子どもと運動
発達支援アイデア

発達障害には運動が効果的⁉

発達障害には運動が効果的だと聞いたことはありませんか?

本記事では発達障害をもつ子どもたちの運動に対する苦手感と、その根幹にある原始反射についてまとめます。

目次

発達障害と運動

発達障害と一口に言っても、その特徴や抱える困難は100人いれば100通り、と言われるほど、個人差が大きいものですが、「なんとなく運動が苦手」だと感じることが多いように思います。

例えば手先の器用さ、ハサミを使う、細かいものを摘まむなどの微細運動、そして身体全体を大きく使う粗大運動のどちらかに偏りがあったり、どちらかが、あるいはどちらも苦手、ということがあります。

うちの娘もそうですが、手先の器用さは後の文字を正確に書く力(運筆力)や適切な筆圧、走ることやハシゴを登ったりキャッチボールなど視覚と連携して身体をタイミングよく動かすことなどに苦手があります。

それはどうしてかというと、複数の感覚や動きを「連携」することに苦手があるようです。

マンガにも載せましたが、「走る」という動き一つにしても、その動きは1つのものではなくて、腕の振りと足の動き、これをうまく連動させる必要があると言います。

複数の感覚や動きを「連携」することに苦手があると、走ってはいるのだけど、なんとなくぎこちない。
そんな印象があります。

その原因の1つに、後述する原始反射が関わっている可能性があると言います。

原始反射とは

赤ちゃんのモロ反射イメージ

原始反射とは、おもに赤ちゃんの頃に見られる本能的な反射のことで、例えば赤ちゃんの口元に指などを持っていくと指に吸い付く吸啜(きゅうてつ)反射、びっくりしたように腕を伸ばすモロ反射などがあります。

これらの反応は、お母さんのおっぱいに吸い付くため(吸啜反射)、自分の身体をまもるため(モロ反射)と言われています。

これらの原始反射は、ごく限られた時期の赤ちゃんにしか見られない反射です。

ではどうして、成長につれてなくなってしまうのか。

それは脳が発達して、より複雑な動きをするためにこれらの原始反射を「統合」するからだと言われています。

原始反射の統合

赤ちゃんの時に見られる原始反射は、生き残るために必要な反射ですが、脳が発達すると生き残るための方法や条件がより具体的に仕分けができるようになり、

口元に来たものに吸い付く

口元に「食べ物が来たときに」吸い付く、あるいは口をあける

という風に行動が成長していきます。

この行動の成長があるのは、原始反射を「統合=卒業」するから、だと言われています。

原始反射と発達障害

発達障害の子どもたちは、この原始反射を統合できずに保持したまま成長していることがあると言われています。

例えば人に触れられることで怒ってしまう、感情のコントロールがうまくできない、などが原始反射の統合に関わっていると言われています。

ではこの原始反射の統合を促すような刺激を意図的に取り入れれば、これらの困難を乗り越えられるのではないか、ということで、そのために運動が適していると言われているわけなのです。

運動というのは先述した通り、複数の反射や感覚などを脳の中でうまく連携させる必要があります。

この動きを連携させる練習こそが、運動であり作業療法で教わる動きの練習であって、原始反射の統合に有効な刺激だと言われています。

作業療法で取り組んだ運動例

これは娘の経験からですが、
作業療法の先生からよく言われたことは、
「2つの違う動きを同時にする」必要性です。

娘の場合もそうでしたが、同時に違うことをするのが苦手でした。

それは違う動きをしようとすると、頭の中がごっちゃになるような印象で、動きがバラバラになりやすいというか、1つのことに意識を取られて他のことがおろそかになるようでした。

例えば興味が1か所に集中していて、足元の障害物に躓いたり、後ろの何かにぶつかったり。
また一つ一つはうまく出来ていても、同時にしようとすると動きが分からなくなる、などです。

これはどんな人にも起こり得ることなのですが、その程度がすごく大きいという感じでしょうか。

そこでよく取り組んだ運動例は

  • トランポリンを飛びながらキャッチボール
  • トランポリンで飛びながら身体の向きを変える
  • ブランコに乗りながらボールをキック
  • ジャンプして物を掴む

などです。

そのほかには手足を全部つかうハシゴの上り下り、丸太にしがみつく、などがありました。

そうやって、複数の感覚や動きを同時に練習することで、脳の中での情報整理がうまくいくようになると、複雑な動きも滑らかにできていくようになるそうです。

またそれに伴って、感情もトゲトゲしたもの(イライラや緊張など)から、柔らかいもの(楽しいや嬉しい)に変わっていくのを見ました。

場面緘黙を持つ娘も、作業療法の回を重ねるごとに笑い声が聞ける日が増え、最後には少しですが言葉も発するようになりました。

内に向いていた感情が、外に向かって発散できるようになったような印象でした。

このように身体を使う運動から、脳にいい刺激をたくさん与えることが、発達障害の子どもに良い、と言われる所以のようです。

まとめ

子育てしていると外遊びの大切さを説くものを多く目にします。

身体作りが心を育む、というのは漠然と分かったような気がしていましたが、運動あそびにこのような意味があるなんて、わたしも知りませんでした。

外遊び、外遊び・・時に子どもに付き合うのが辛いときもあって、なんだか呪縛のように思っていた時期も正直ありました。

この原始反射の統合を知ったとき、単なる「外遊び」でしかなかったものが、成長して文字を書く力や感情をコントロールする力など、子どもの成長を丸ごと支えてくれる、偉大なツールだったんだと気付きました。

今でも付き合えるとき、付き合えない時がありますが、少し前向きに楽しめるような気がします^^

以前お世話になった、おじいちゃん先生が、
「野原で駆け回っていれば発達障害なんて気にならなくなるもんだよ」と仰っていたことをふと思い出しました。

当時はまだ子どもも小さく、わたし自身も知識らしい知識がなかったために、そんなことで改善するなら苦労しないのに、などと思った記憶があります。(先生ごめんなさい)

我が家は転勤族だったため、もうそのお医者さんにお会いすることはできなくなりましたが、その先生の仰った意味が、まさにこれにあるんだなと、今更ながらに思います。

わたしもイライラしたら、外で遊んだらいいかもしれません!

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