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障害・福祉

手当が出る?出ない?療育手帳とお金の話

手当は軽度でも申請できる⁉

~意外と知らない「療育手帳と手当」の関係~

*ここでの「手当」とは、「特別児童扶養手当」を指します。

特別児童扶養手当とは、知的障害を持つ児童にとっては主要な給付金で、別途申請する必要のない中度・重度に該当する場合は、療育手帳の交付とセットになっているものです。

しかし、この特別児童扶養手当と療育手帳は、本来「別物」であるため、療育手帳の判定が軽度で、該当しないように見えても、条件が揃えば申請することができます。

療育手帳の判定の基準になるのは、「知的な遅れ」であるため、実際の困難さが反映されていないこともあります。

また、知的な遅れがない場合には、療育手帳の対象にはならないため、そもそも手当があることを知らないというケースもあります。

実際の子育てに多くの「困り感」や、「手や目が離せない状況」があることを申請することで、特別児童扶養手当の給付対象となる場合があります。

本記事では、特別児童扶養手当の具体的な申請について、その体験談とともに綴っていきます。

~目次~

「療育手帳」と「特別児童扶養手当」は管轄が違う

‣「療育手帳」は「自治体」の管轄

療育手帳は、自治体によって呼び名が変わったり、受けられるサービスなども自治体が管理するなど、制度としては厚生労働省が定めたものではありますが、その運営は自治体に任されています。

*詳しくは、厚生労働省ホームページ「障害者手帳について」をご覧ください。

*療育手帳の申請について詳しくはこちらをご覧ください。

‣「特別児童扶養手当」は国の管轄

一方、特別児童扶養手当は国が基準を定める給付金です。

給付金の基準は
・1級 52,500円
・2級 34,970円

となっており、療育手帳の判定が重度の場合は1級に、中度の場合は2級に概ね該当します。

ですが、療育手帳の判定と、特別児童扶養手当の判定は、必ずしも一致するわけではなく、療育手帳の判定が軽度であった場合でも、特別児童扶養手当の判定を受けるべく申請することができるのです。

もっと言えば、療育手帳を持っていなくても、障害の診断を受けていれば、特別児童扶養手当を申請・給付を受けることもできるのです。

障害による困り感や子育ての大変さというのは、知的な遅れだけに起因するものではないからです。

特別児童扶養手当の申請

窓口は自治体の障害福祉課

特別児童扶養手当の申請は、自治体の障害福祉課が窓口になります。
申請に必要な書類などは、自治体の窓口やホームページで確認することができます。

窓口で必要書類一式を受け取る

申請のための書類を準備

窓口に提出

という流れになります。

所得制限について

特別児童扶養手当の申請には所得制限があります。
療育手帳と同時に給付対象になった場合でも同じ基準になります。

この所得制限は国が定めたもので、以下は扶養親族が一人の場合の例です。

申請者所得 4,976,000円未満(控除前の年収:6,862,000円未満)

*詳細については厚生労働省ホームページ「特別児童扶養手当」をご覧ください。

‣申請者は世帯で一番収入の高い人
‣配偶者や同居の祖父母の収入、扶養義務者の数などにも基準がある
‣手当受給の対象となっても、所得制限を超える場合には「給付停止中」となる

後に記載しますが、申請書類を揃えるのはなかなか大変ですし、医師の診断書を取得するために費用もかかります。
そのため療育手帳の軽度である場合や、療育手帳を持たない場合の申請には、事前に所得制限をきちんと確認されることをお勧めします。

必要書類

自治体によって違いがあるかもしれませんが、わたしの住む地域で必要な書類は以下の通りでした。

  1. 特別児童扶養手当認定請求書
  2. 請求者と対象児童の戸籍謄本
  3. 診断書  (各種手帳があれば省略できる場合もある)
  4. 特別児童扶養手当振込先口座申出書
  5. その他

1.特別児童扶養手当認定請求書

請求者は世帯で一番収入の多い人になります。
配偶者、同居の祖父母など、生計を共にしている人全員を記載する必要があります。

2.請求者と対象児童の戸籍謄本

本籍が居住地区と異なる場合で、マイナンバーカードを持っていない場合には、郵送で取り寄せる必要があります。
戸籍謄本には証明に使える期限があるため、医師の診断書が出来上がるタイミングを見計らって、取得します。

*郵送による戸籍謄本の取り寄せについては、各自治体のホームページなどに掲載されています。
ちなみにわたしの場合では、申請書と身分証のコピー、返信用封筒、料金分の定額小為替を郵送することで取得しました。

3.診断書  

最も重要で、かつ時間と費用のかかる書類です。

わたしの住む自治体では診断書に所定のフォーマットがあり、その用紙に記入してもらうことになっています。

手当給付に該当するかどうかは、この診断書がすべてと言っても過言ではありません。
子どもの発達をずっと診てくれていた医師に書いてもらうのが良いと思います。

また、診断書作成には費用がかかりますので、作成をお願いする前に、手当に該当するかどうかを医師に相談できれば一番良いです。

4.特別児童扶養手当振込先口座申出書

手当を振り込んでもらう口座を記入する用紙で、必ず申請者名義の口座でなければなりません。

また、口座のある金融機関に出向いて、この用紙に証明印をもらう必要があります。
振込先口座の申出に、金融機関の証明が必要なことはあまりないので、留意しておく必要があります。

5.その他

こちらは自治体によって異なる可能性もありますが、参考までにわたしの住む自治体では以下の提示を求められました。

‣マイナンバーを確認できる書類
 (1の書類に記載した全員分)

‣申請者の免許証のコピー

‣療育手帳

考慮される現症(参考まで)

療育手帳の判定の基準となる知的な遅れに加えて、手当の受給に該当するかどうかを左右するであろう症状で、医師に書いてもらう診断書に項目があった内容です。

*こちらの記載は経験に基づく内容であって、手当受給に関わる判定を決定付けるものではありません。

‣発達障害関連・学習障害関連
(社会関連や言語コミュニケーションなど)

‣意識障害・てんかん

‣精神症状
(うつ病など)

‣問題行動
(暴力、多動、排泄問題、食事問題など)

給付の対象となるのは申請した月から

上記書類の準備が整ったら、自治体の障害福祉課に出向いて書類一式を提出します。
あとは判定を待つのみとなります。

判定で給付が決まった場合、特別児童扶養手当の給付開始は、この書類一式を持参し、受理された日の月から、となっています。

書類を提出したのが、3月1日でも3月31日でも、給付開始は4月からです。

また、3月31日と4月1日など、月末と月初、1日の違いで、ひと月分受給できるかどうかが変わってきますので、書類が揃ったらなるべく月をまたがないように提出した方が良いと思います。

わたしの場合、戸籍謄本の取り寄せが一歩遅れてしまい、翌月1日に提出したのですが、1日違いでひと月分が給付対象から外れてしまいました。

まとめ

所得制限や判定を受ける必要はありますが、
療育手帳が軽度判定のため、給付金がもらえない、と決まったわけではありません。

特別児童扶養手当は、通常の児童手当と異なり、どの自治体でも20歳になるまで受け取れます。
(再判定や所得確認は定期的にあります)
また、非課税所得に該当するため、確定申告や年末調整に申告する必要のないお金です。

障害のある子どものために使える財源があるのは、非常に大きいと思います。

今該当していない方も、申請次第で受給できる可能性がありますので、一度検討されてはいかがでしょうか。

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