てんかん

てんかんの検査入院

時系列が前後しますが、昨年普段とは違うてんかん発作が頻発した際、2泊3日の24時間脳波検査入院をしたときの体験談です。

てんかん検査入院前の準備のこと、
入院中の様子、
入院中に困ったことなどを思い出しながら書いています。

昨年の夏が来る少し前から、度々娘の首がガクっとなるような様子が見られました。

それはとても頻繁で、
時々持っているものを落としたり、走ったりしているような時には勢いよく転んだりしていて、なんかおかしい。

そのうちに、てんかんの発作ではないかと疑うようになりました。

娘はもともとボーっとするタイプのてんかん発作(欠神てんかん)を持っていたので、病院には1~2か月に一度定期受診していたので、主治医に相談しました。

すると、確実なことは「てんかん発作とおぼしき場面での脳波を取る」ことでしか分からないとのこと。

そして夏休み明けに、2泊3日で検査入院をすることになりました。

脳波をとる際に付ける電極を付けたまま、2泊3日を病院で過ごすと聞かされました。

もちろん娘一人では病院に泊まり込むことなどできません。
付き添いが必要です。

ですが世間はコロナ禍。

・付添人の交代は認められない
・付添人は外出してはならない
・病院の食堂はコロナのため休店
・面会禁止

これって・・・

夫は仕事がありますし、やはりここはわたしですよね。

付添人には病院からの食事提供はありません。
3日間、3食コンビニ(病院内で唯一のお店)、覚悟しました;;

ですが上の子が家にいます。
ここは夫に頑張って早く帰ってきてもらうしかない。
学校の制服の洗濯とかもお願いしますよ。

頭に電極を付けたままベッドから降りられず、お風呂も入れない娘が一番ツラいはず!
覚悟を決めて付添人として行ってきました。

周りの人には、
「3食昼寝付き~ 満喫してきます~」などと言っていましたが、
現実はそんなに甘くない。

てんかん検査入院数日前

詳しい日数は忘れてしまいましたが、
普段飲んでいる抗てんかん薬の影響を無くすため、薬を飲まずに過ごします。

そしたら、出るわ出るわ、てんかん発作の嵐です。

入院前から不安になりました。

そして頭に付けた電極はずっと機械に繋がっているため、被り物の服は脱ぎ着ができません。
前開きのパジャマなどを用意してくださいとのこと。

前開きのパジャマは、ボタンが面倒なので持っていませんでした。
幸い、お友達から譲ってもらった浴衣柄の甚平が1着ありました♪
でも1着じゃ足りないので、急遽、手ごろな甚平をゲット。
このあたり、夏が過ぎた頃でラッキーでした。
甚平なんて年中売ってないし、何より時期が少しずれたことで、セールになっていました!
柄は選べませんが、そんなこと言ってられません。

てんかん検査入院当日

てんかん検査入院中はお風呂に入れないため、
また、電極をしっかりくっつけるために、
入浴・洗髪(リンスはしない)を済ませてから10時までに来院してくださいとのこと。

夏休みが明けたと言っても、まだまだ暑い日。
お風呂に3日も入れないなんて、かわいそうでした。

娘の不安をあおらないように、
「病院でお母さんとお泊り会だよ!」と壊れたレコードのように言い続けました。

そして病室に案内されたら
電極を取り付ける前に脳のMRI検査とレントゲンも撮ったような気がします。

MRI検査室には、付き添いができませんし、
うい~んと動くあの機械、見た目がすでに怖すぎて、正気じゃ入れません。

そこでぼーっとさせる薬を点滴で入れて、なんとか検査をクリア。

点滴は病室で始まるため、既にボーっとした状態で、
検査室へは車椅子で看護師さんが連れて行って、連れて帰ってきてくれました。

その間に自分の食事を確保したり、
病室の荷物を片付けたり。

その後、いよいよ電極の取り付けです。

外来での脳波検査のときは、電極はクリームのようなものでソフトにくっついていますが、検査入院のときは24時間外れないように、接着剤のようなものでがっつり付けられます。

まず頭皮の油分を徹底的にふき取り、
有機溶剤系の接着剤でガーゼとともに張り付けていきます。

外来の脳波検査のときとは比べ物にならないくらい、長い時間をかけて付けていきます。

有機溶剤の臭いも頭が痛くなるほどでした。

検査を始めるための電極の取り付けの時点で、かなり過酷です。

こんなとき、場面緘黙症の娘はとても立派に見えます。
ピタリと動かず、騒がず、ただじっと終わるのを待っています。

「えらいね~!」と褒められます。

親としてはとても複雑です。

スムーズに電極が付けられるため、助かる部分も大きいですが、
本当は動けない、話せない状態がずーっと長く続いているだけなのですから。

がんばれ、がんばれ娘!

もう退院したら、たくさん甘やかしてあげようと思いました。

ですが入院は始まったばかり。

電極が付いたら、ようやくひと段落。
気付けば夕飯の時間でした。

娘は栄養を考え抜かれた病院食。
わたしはコンビニ飯。

娘はどちらが食べたいか?

そりゃコンビニ飯でしょ!笑

でも最初から譲るわけにはいかないので、
食べれるだけ食べてから、交換。

これはこれで楽しい時間でした。

てんかん検査入院中に困ったこと

1.娘のトイレ

電極が機械に繋がっているため、
トイレに行くときは看護師さんを呼んで電極を持ち歩けるようにしてもらう必要があります。

そして帰ったら再度お願いして電極を元に戻してもらいます。

薬を飲まない状態が続いているため、てんかん発作が激しく、
頭部保護の専用帽子をかぶせて、腕を抱えて連れて行きます。

入院、という日常とかけ離れた環境で、
トイレに行ったものの出ない、が結構ありました。

頻繁に看護師さんにお願いするのも申し訳なく・・
「こんな環境だもの、仕方ないですよ!何度でも呼んでください^^」
優しい看護師さんに救われました。

2.自分のお風呂

娘はお風呂に入れませんが、付添人はお風呂に入ってもいいとのこと。

娘を病室に一人残していくので、気が気じゃありません。

ナースセンターに声をかけてから行きますが、
カラスの行水のごとく猛スピードで終わらせ、病室に戻ります。

娘はテレビを見ていて、案外大丈夫でした。

何が困ったって、どういうわけか、
病院のお風呂、めっちゃ寒いんです。

湯舟はなくシャワーだけですが、
車椅子のまま入浴できるような広いお風呂だからか、
とにかく寒い。

あとで気付いたのですが、
大型の換気扇が、ガンガン回っていたみたいです笑

慌てていたのと、強度の近視のため、
見落としていた自分に非がありました;;

3.入院中は録画されている

てんかん発作が起きている場面を的確に把握するため、娘のベッドは24時間録画されています。

なので着替えのときなどは看護師さんに言って録画を止めてもらいます。

録画されているのはベッドの付近だけなので、
わたしが着替えたりするときは、録画画面からフレームアウトしたところですれば大丈夫です。

ですが見られて恥ずかしい動きはしないようにしないと!

4.付添人のベッドが板

さて、夜寝るための簡易ベッドを入れてくれました♪

ベッド・・?ですか?
これ、板じゃん。

硬い、狭い、短い板。

布団を貸してくれただけ、ありがたいと思うべきですね。

5.付添人のベッドの真上に夜間照明

病院では消灯時間があって、病室のメインの照明は時間が来たら消えますよね。

そして夜間であっても患者さんの様子が分かるように、廊下側や出入口に夜間用の照明があります。

それが付添人のベッドの真上にあったんです。

付添人のベッドは、病室の広さからしても、そこにしか置けない。

でも本当に真上に煌々と光る照明・・

板の上でライトに当たっては・・眠れません;;

そして夜間も1時間置きに看護師さんがモニターのチェックに来てくださいます。

疲れてヘトヘトなのに、
うまく眠れないわたしは、なんとか光が当たらない工夫をしてみたりしますが、うまくいきません。

なんで?なんでこんなにこの照明は明るいのか?
ひー!もう眠れないぃぃぃー!

一人ブツブツ言っていると、娘を起こしてしまいました::

「お母さんどうしたの?」

『だってさー、この電気がさー、まぶしくってさー、おかしいよこれ絶対!』
『・・っていうか、起こしてごめん。』

自分の大人げないこと。

人間、睡眠を妨げられるというのは、つらいものです。

翌日、看護師さんに悲壮な感じで相談してみたところ、
例の照明の電球を外してもらえることに!

設備係のお兄さんが外してくれました。

ありがとう、ありがとうお兄さん。

無理を言ってしまいましたが、言ってみるもんです笑

6.まさかの会話録音

そんなこんなで夜が明け、朝を迎えました。

朝一番で主治医の診察です。

そこで実は録画だけではなく、録音もされていることを聞かされます。

昨夜のあの独り言や、娘にグチったあの会話も全部?

というか娘との会話ぜんぶですよね?

なんか他にもヘンなこと言ってたらどうしよう・・

っていうかそれ、最初に言うべき事じゃない?

娘と2人の時は、完全にホームモードだし、隠し録音する意味ある?

娘が場面緘黙だから?
自然な会話を録音しようとか、そういう意図?

だとしても、わたしには教えてくれたっていいじゃないですか。

とられてしまったものは仕方ない。
録音したものすべてを聞くほど、お医者さんは暇じゃないはず。

そう思って平常心を保ちました。

てんかん検査入院2日目

2日目は大きなイベントもなく、
電極を付けたまま、ひたすら時間が過ぎるのを待ちました。

ベッドの上でできることと言えば
お絵描き
絵本を読む
勉強(一つもしませんでした)
トランプ(カードが行方不明になりかけました)
上の子とビデオ電話(1度きり)
そしてテレビを見る

ご飯の時間が待ち遠しい・・・

明日になったら家に帰れる!
これを糧に頑張りました。

退院の日

いよいよ退院!

朝から頭に張り付けた電極を、今度は必死に(検査技師さんが)取り外します。

接着剤で貼り付けてるため、外すときも有機溶剤で外していきます。

そこで娘の頭をゴシゴシとこすっていたのは、なんとキシレン。

キシレンというと毒劇法でいうところの劇物です。

そんなもので娘の頭を・・
大丈夫なんですか?ほんとに大丈夫?

もう心配でたまりませんでした。

臭いがきついし、とにかく一刻も早く終わってほしかったです。

なんとか無事に取り外したら、
「ゆっくりお風呂に行ってきてください♪」と2時間ほど予約を入れておいてくれました。

ただ、頭にこびりついた接着剤は、
しばらくは完全に取れないけれど、無理にはがそうとせずゆっくり取っていってください、とのこと。

娘と一緒に、お風呂に行きました。

キレイに髪を洗って(接着剤はほとんど取れませんが)、
身体も丁寧に洗って、気持ちよさそうでした。

そして退院の手続きをして、
薬をもらって、
迎えに来てくれた夫の車で帰宅しました。

迎えに来てもらって良かった・・

安全に車を運転できる余力は残っていませんでした。

帰宅する途中、娘の口からまさかの一言。

「また病院でお泊りしたいな♪」

確かに過酷な検査ではありましたが、
接してくれた看護師さんたちの優しいこと!

そして
・食べさせてもらる(てんかん発作で落とすため)
・トイレも完全付き添い(てんかん発作で転倒するため)
・ずっとそばに付いていてくれる(他に用事がないため)
・怒られない(ずっとベッドにいるため)

こんな普段してもらえないようなことをしてもらえて、嬉しかったみたいです。

わたしはできればもうご勘弁願いたいと思ったてんかん検査入院ですが、娘の心に傷を残さなかったなら、それは何よりです。

そしてこの後、しばらくは薬の効果判定のために頻繁に通院することになるのですが、

「今日はお泊りしないの?」

と毎回聞かれることになりました笑

気になるてんかんの検査結果は、
今までなかったてんかん発作型を誘発するてんかん波がばっちりでていて、検査入院としては成功し、娘にあう薬を探すための一歩となりました。

場合によっては入院という非日常の場面で、
心理的な要因からその時に限って、てんかん発作が出ないということもあるそうです。

その場合は日を改めて再度検査入院、となるそうなので、
今回とりあえず1度の検査入院で済んだことは不幸中の幸いなのだと思います。

それにしても、娘もわたしも、よく頑張ったと思います。

そして家で待っていてくれた上の子も、
仕事と家のことと、わたしたちの送迎をしてくれた夫。

家族みんなの協力があってこそ。

2泊3日という長いようで短いてんかん検査入院を無事に乗り切ったのでした^^


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