療育日記

療育っ子の誤学習

間違った関係が生まれる、誤学習って?
~我が家の場合~

我が家の療育っ子は、知的障害と場面緘黙症を持つ小学2年生の女の子です。

ポコたん
お父さん

これは療育っ子が幼稚園の年長さんあたりから最近まで、
大きな悩みのタネだった、お父さんとの関係に潜んでいた「誤学習」にまつわる話題です。

我が家の療育っ子はお父さんが大好きです。

お父さんもそんな娘が大好き。

我が家の上の子は男の子、
療育っ子は女の子、
お父さんにとっても違うかわいさがあるのだと思います。

また、小さいころから発達がゆっくりだったこと、
体も周りより小さいこともあって、
お父さんとしては、
なんだかいつまでも〝ちっちゃい”娘のようです。

平日夫は仕事が忙しく、
帰宅は深夜に近いです。
当然子どもたちは寝ています。
(ついでもわたしも寝ています)

なので平日は朝しか会えないことが殆どで、
療育っ子のスクールバスまでは夫が送ってくれることで、
かろうじて一緒にいる時間が取れています。
わたしとしても、とても助かっています。

特別支援学校 スクールバス

さて、問題は休日です。

お父さんが家にいると、
お父さんから離れない療育っ子。

どこでも一緒に行きたがります。
夫もどこでも一緒に連れて行ってくれます。

かんもくっ子ポコたん

これだけ言うと、
なんてステキな父子の関係!
なのですが、
問題は療育っ子のお父さんへの甘え方です。

心の広い夫は、
結構なんでも療育っ子に合わせてくれます。

基本せっかちで、心もそれほど広くない母親のわたしには
聞いてもらえない要望でも、
お父さんは違います。
とことん付き合ってくれます。

最初のうちは、
わたしができないことを夫がしてくれているんだと感謝していました。

しかし、
療育っ子の要望は段々とエスカレートし、
わがまま放題、駄々こね放題へと変貌していきました。

かんもくっ子ポコたん

そうなると、
家族が全員揃う休日は、
療育っ子の泣き叫ぶ声やわがままを喚き散らす時間がどんどん増え、
傍で見ているわたしも上の子もイライラ。
一言でいうと、「不快な時間」が増えました。

そこで、
当時通っていたポーテージの先生に相談してみました。

わたしとしては、
普段幼稚園(当時)では、
場面緘黙症のため、たくさんの我慢をしている療育っ子が
自分の思いを声にして表現している時間、
うっぷんを晴らしている時間かもしれない、と
「不快な時間」を我慢した方がいいのかもしれないと思っていました。

ところが、
ポーテージの先生からは、

「それ、お父さんとの関わり方を誤学習してるよ」
「はやく軌道修正した方がいい」

とのこと。

そして

「今はまだ小さいけど、
将来的にお父さんと娘さんの関係に悪影響を及ぼす」

ことも言われました。

誤学習

それは間違った反応の仕方を定着させてしまう事。

この場合、
お父さんの顔を見ると、
「無理な要求を聞いてもらう」ことで、
自分への関心を惹きたい、と思ってしまう反応。

なので無理な要求を受け入れてもらうまでがお父さんとの関わり、と言うことになります。

さらに、それがエスカレートすると、
「ただ無理を言う」ことが目的になってしまい、
本当はどうしたかったのか、本人も分からなくなる有様。

これでは終着点がありません。

ずっと無理を言い続けることになります。

そして時々お父さんにも限界が来ます。

すると怒られ、要求を聞いてもらえない。

そうなるともうパニックです。

娘にとってみれば
お父さんと関われていないことになるからです。

この誤学習を訂正するためには、

・これはダメと決めたことは譲らない

・複数の「無理」を言い出したら、最初の無理だけにフォーカス。それ以外の無理についてはやり取りをしない

要はなんでもかんでも無理を聞くんじゃなくて、
他の家族との兼ね合いや、成長に合わせた関わりで可否を決める。

根気強くこれを徹底するしかない。

かんもくっ子ポコたん

普段仕事で外にいるお父さんは、子どもの日々の成長を細かに感じられないので、
今何ができていて、何ができていないのか。
何が分かって、どこからは分からない領域なのか、
これを判断しにくいのだと思います。

例えば、
赤ちゃんが泣くことで、
オムツを変えてもらったり抱っこしてもらったりすることを、
誰もわがままだと思いませんよね。

一方、一般的に小学生の子どもが、
歩き疲れたから抱っこして、と泣くことは、
わがままだと判断がつきます。

ですが療育っ子の場合は、
発達のスピードがその子その子で違うため、
何歳だからこれができるという判断がつきにくいです。

その子の発達の具合を
その時その時で判断して、
ここは応えられる要求なのか、
ここはわがままだと断るべきか、判断が難しいです。

ですが、発達のスピードが遅くとも、
例えば周りとの兼ね合いを考えて、とか、
親がとても困るから、
という理由も、
教えていかなくてはいけないことなのです。

こうすることで、
なぜダメなのか、が分からなくても、
いつでも自分の要求が通るとは限らない、と学ぶ必要があるのです。

かんもくっ子ポコたん

障害があろうとなかろうと、
ダメなものはダメだと、教える必要があるわけです。

体は心の成長とは無関係に大きくなっていきます。

体が大きくなることで、
物理的に許容できない事柄が増えてきます。
そうなったとき、自分の要求が通らないことがあることを知らなければ、
今よりもっとお互いに困ることになるのです。

そこで、父子関係の改善に向けて取り組みを開始しました。

いきなり関係のすべてにおいてこれを徹底すると、
子どもの心が疲れてしまうので、
最初は1つか2つ、事柄を決めて取り組むことを勧められました。

そこからちょっとずつ軌道修正して、現在に至ります。

今でもまだ、わたし=母より、お父さんはわがままを聞いてもらえる相手だと思っています。

ですが、ちょっとずつ問題行動も少なくなってきました。

その代わり、新たな問題も。

「やってください」と言えば何でもやってくれるお父さん。

「やってください」と言われても、できると知っていることは断るわたし。

これも日々の学校とのやり取りなどをしているわたしには判断が付くことだけど、そうじゃなければ難しいですよね。

そんなときは、横から

「できるよ~、やってごらん!」

「1回、自分でやってみて」

と口をはさむようにしています。

子どもと関わるって難しい。

改めて実感した出来事でした。

かんもくっ子ポコたん

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