音楽で自律神経をコントロール
以前の記事、「せっかちさんとのんびりさん 相性悪い⁉」の関連記事になります。
以前の記事の内容は、心地いいテンポというのは、人それぞれ違っていて、
そのテンポが速い人がせっかちさん、
そのテンポがゆっくりなのがのんびりさん、
という内容でした。
人それぞれの持つテンポ、実は時間帯によっても違ってきます。
この時間帯によって違う理由とともに、それを日々の生活にうまく取り入れるヒントをご紹介します。
朝と夜は時間がゆっくり感じる理由
起床後や夕飯のあと、のんびりしていたら予想以上に時間が経っていて、焦ったという経験はありませんか?
これはその人の持つテンポの速さを左右する、自律神経と深い関わりがあります。
自律神経というのは、交感神経と副交感神経の2つで構成されており、
体内時計を司る神経でもあると言えます。
以前の記事で、
せっかちさんは交感神経の影響を色濃く受けている人
のんびりさんは副交感神経の影響を色濃く受けている人
と、ご紹介しました。
図のように、
交感神経は日中の活動時に主に働き、酸素をたくさん取り込んでエネルギーを生産するのに寄与しています。
また、副交感神経は日中の活動を終えたあと、身体を休め回復を図るように働き、エネルギーを貯蔵するのに寄与しています。
このことから、
体内時計が副交感神経の影響を色濃く受ける夕方以降や起床後というのは、その人の持つテンポがゆっくりになる時間帯、と言えるのですね。
普段と同じように過ごしているつもりでも、
体感として感じる時間がゆっくりになるため、時計の時間は予想以上に進んでいた、ということになります。
実は乗せられている? ~お店での音楽効果について~
‣ファストフード店でアップテンポな曲が流れる理由
ファストフード店や、ランチタイムの忙しい時間には、
お店でアップテンポな曲が流れている、と聞いたことがある方も多いと思います。
アップテンポな曲を流せば、みんなテキパキと食事を終え、次の場所へ移動してくれることから、お店としては回転率を上げることができる、と言われています。
実はこれ、上述のような人のテンポと行動性を用いた分かりやすい例なのですが、アップテンポな曲が好きな人はリズムに乗って食も行動も進みます。
一方もともとテンポがゆっくりな方にとっては、なぜか分からないけれどパクパクを食べてサッサを店を後にしてしまい、なんだか急かされたような気分になってしまいます。
ですが、いずれの場合も、お店としては効果があった、ということになりますね。
‣優雅なレストランがクラシック音楽を流す理由
一方、優雅なレストランではゆったりとしたクラシック音楽が流れていますよね。
これはお店としても、ゆったりと食事を味わってもらいたい、
お店での食事の時間を存分に楽しんでもらいたい、
そんな思いから、気分をほぐしてリラックスして食事ができるように、テンポのゆったりとした音楽を流しているのです。
こんな風に、
わたしたちの行動は、知らないうちに音楽のリズムの影響を受けているのですね。
生活でも役に立つ!音楽の使い方
我が家では、毎朝娘の登校準備がまるで戦いのように繰り広げられます。
「早くーー!!!!」
何度この言葉を朝から連呼することでしょうか・・
そんな毎日から、この音楽の効果を思い出しました。
お店でも効果があるのなら、家でも効果がありそうですね!
‣朝の支度アシスト ~アップテンポな曲を~
朝、なかなかエンジンがかからず、支度がはかどらない時は、音楽の力を借りてみましょう。
好きなミュージシャンの曲の中でもアップテンポなものを選んでかける
クラシック音楽の中でもテンポの速い曲をかける
など、なるべく自分の好みに合わせた曲を選んでみてください。
聞いていると気分が上がる曲、がおすすめです。
また、お子さんの登校の準備をテキパキやらせたい!というわたしのような場合には
「早く!早く!」
という言葉を、音楽にやってもらいましょう!
この時のコツは、
お子さんの好きな曲、知っている曲の中でアップテンポなものを選ぶことです。
お子さんの知っている曲を使うメリットは、
『この曲が終わるまでに、~~しよう!』
という声掛けで、子ども自身が曲の終わりを意識的に感じることができるため、時計を使わなくても時間的な見通しをもって取り組みができることです。
好きな曲や知っている曲の中で、これといったものがない場合は、運動会のかけっこなどで使われるような曲でもいいですね。
‣リラックスしたいとき、ストレスから解放されたいとき
一日が終わって帰宅しても、なんだか気持ちがスッキリしないときは、緩やかな音楽で気持ちをほぐしてもらいましょう。
ゆったりとした音楽は、
副交感神経を高めることで緊張を解きほぐし、心と身体を休め、安眠へとつなぐことが期待できます。
特に日中受けたストレスなどで、イライラしやすいときには効果が期待できます。
お風呂で半身浴をしながら聞くと、更に高い効果が期待できます。
逆に疲れがたまって、元気が出ないとき、翌朝ゆううつになりやすい方は、
普段から副交感神経が高まりやすい可能性がありますので、そのような体質の方は夕方のクラシック音楽より翌朝のアップテンポな曲や朝の散歩、深呼吸の方が向いていると言えます。
普段何気なく聞いている音楽ですが、使い方次第でうまく味方にできるのですね。
*音楽の持つ力を、子どもの発達や介護福祉、病院でより専門的に活用しているのが、音楽療法です。
音楽療法について詳しくは、日本音楽療法学会のホームページをご覧ください。
ウェブ版パンフレットはこちら「音で元気にする」